わっか




もう一度車に乗り込み、時計を見ると4時を回っていた。


また馴れた調子で駐車をした裕也さんは、


「ここの近くに美味しいコーヒーあるんだ。」

「へー」

「パフェもあるし、そこでゆっくりしよう。」




私が気になるのは、集合場所、という点。


理紗にこそっと聞けば済む話なんだけど、裕也さんがぴったりくっついてるから聞くに聞けない。


私はひとりで悶々とするほかなかった。





おいしそうなコーヒーの匂いが立ち込める店内に足を踏み入れると、店員さんが雰囲気のある声でいらっしゃいませを言った。



各自好きなものを頼み、ゆったりとくつろぐ。



お店は半面ガラス張りになっていて、そこからはロータリーが見えた。




もうすぐ5時という時刻。


あたりの人は忙しなく駅へと駆け込む。




ぼんやり人を遠くから眺めているのは、好き。


人ごみがだめな私でも、遠くからなら大丈夫。



そおやって遠くから見ているのは、すごくおもしろいから。




外に気を取られていた私を、綺麗な店員さんが美味しそうなコーヒーを静かに置いて現実に引き戻す。



「ごゆっくり」




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