雨オト
第一章
ザァーーー
雨が降って止まないこの日、俺は出会った──
『殺害されたのは、二丁目にお住まいの逢咲浩二(あいさきこうじ)さん38歳。妻の冬美(ふゆみ)さん37歳です。』
テレビでこのニュースが流れる2日前、オレ桐沢陽(きりさわみなみ)は兄、桐沢樹(きりさわいつき)の助手として、二丁目の殺害現場に来ていた。
「ミナ、これを鑑識の方にまわしてくれ」
「うん。」
兄ちゃんは21歳にして警察、俺はただの中学2年生。正直俺なんかがこんな処に居ていいのかどうか分からないが、事件が起きると毎日のように来ている。
どうせ今日も手伝いをして、調査が長引いて、俺が先に帰り、親もいない家で一人で過ごす───と、思っていた
「・・・ウル!?」
「イツキ!」
「何?兄ちゃん、知り合い?」
「あぁ、高校の時の悪友だ。っそういや、お前・・・逢咲・・・」
「そ、せーかい。殺されたのは俺らの両親。まぁ、何の思い入れもなかったし、悲しいって気持ちが無いのがちょっと悔しいけどね。君、イツキの弟?」
「桐沢陽です」
「俺は逢咲潤(あいさきうる)よろしくね」
今日はいつもと違う。現場の雰囲気も、遺族の「親が居なくなった」って言う実感の無さも
俺は兄ちゃんに渡された凶器を自分で鑑識にまわすのも面倒なので、その辺の人に渡す事にした。
「にしてもナイフだけとはなー。冬美さんの死因として、縄とか出てきてもいいのに」
しばらく歩いて行くと、ちょうど人が居た
「小野山さん、これ鑑識の方にって兄ちゃんが」
「了解いたしました。」
はぁ・・・・服びしょ濡れじゃん、俺
『は・・くしょんっ』
ん?
今誰かとくしゃみがダブった
俺は声がした方を振り向くと、「アイツまさか・・・」と思える奴が座っていた