雨オト

桐沢




「おぃ、」

「・・・・・ん~~」

少女は、眠っていた。
こんな雨の中寝るなんて事が出来るのは、よっぽど図太い神経してないと無理そうだ・・・


「おーい。生きてるかーー?」

「・・・・ふぁ~~~ぁ・・・ん、誰?」

欠伸を一つ、そして覚めきっていないていない目をこすると、彼女は問うた

「俺?俺はお前の兄貴のオトモダチ。」

「うるちゃんの?」

「あぁ。お前、ココアって名前?」

「ぅん。」

どうやら、この子がココアというのは当たっていたようだ
と言うか、他に女の子がいても困るだけだが

「心(ココ)って呼んでいい?」

「いーょ」

「じゃあ言わせてもらう。・・・・お前今何月だと思ってんだ!こんな所で寝かけて、俺が起こさなかったら今頃風邪ひいてたぞ!」


「あっ・・・調査の邪魔・・・?ごめんなさい!」



多分、陽が今言おうとしていた事はそれとはまた違うと思う。でもまぁ、この言い方は陽なりの気の使い方か・・・



「心、お前の兄ちゃんが心配してたぞ。向こう行こ」

「・・・・はぁぃ」

陽には、心愛が泣いているように見えた。
実際に涙を流していたわけじゃなく、こころの中で。



□■□■





「ウルさん、心居ました」

「おぉ、ありがと。心、何処行ってたの?」

「・・・・・・お家、また無くなっちゃうの?」

「心は、お父さんとお母さんが居なくなって悲しい?」

潤は心配の半面、悲しそうにも見える。
でも

「そんなわけない!心にはうるちゃん居るから!」

「ははっ・・・チョー嬉し。」

心配は要らないらしい、この二人には







「イツキ、あのさ」

「分かってるよ、冬美さんは胸を一突き、浩二さんは首を絞められてる」

「そっか・・・・」

「・・・ウル、大丈夫?」


この時の潤のココロの中を察す者は、誰も居なかった。



───ドサッ

「ウル!!」

「うるちゃん!」


潤は、倒れた──









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