【短編集】独りな一人
偽りの友
「ねぇねぇ、聞いてるぅ?」
あー…うるさい。
『え?あ、ごめんごめんぼーっとしてた』
最初から聞きたくもないんだよこっちは。
「も~あんたはいっつもそうなんだからぁ~」
「大丈夫??具合悪くない??」
『あはは。うん、大丈夫だよ♪』
「なんかあったらいつでも言ってよね??」
「そうそう、ウチら親友なんだから!」
『A子、B子ありがとう』
「いーって!」
「当然じゃん!」
じゃあもうこの友達ごっこを止めていいだろうか。
知ってる。
あんたらがいつも私のことをどう思って言ってるか。
表では仲良いふりしても、実際は違う。
休日に遊んだことなんて一度もない。
誘われない。
誘ってもなにかしらの理由をつけて拒否。
相談乗るなんてよく言えるよね。
真っ先にお前たちは見捨てるんだ。
いつまで私はこの関係を続けるのだろう……
学校は嫌でも誰かといないと目立つ。
周りの視線に、先生の迷惑な心配に。
一人で大丈夫な人だっている。
でも私は……一人が………独りが怖い。
誰かに依存しなきゃいけないんだ。
わかってる。
この周囲に合わせてる、本心を隠した私の最悪な性格が悪いんだって。
私だって、本心で楽しみたい。
気楽にどうして誘ってくれなかったの、って言って笑って、ふざけあう未来もある。
でも、もしそこで明るい雰囲気にならなかったら?
気まずくなったら?
怖い可能性のある未来なんて、私は望まない。