季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
「ねぇ…順平が私を見つけたのはいつ?私はどうしてた?」

「1年半くらい前。朱里の事、ずっと探して…やっと見つけた時には朱里はあいつと一緒に暮らしてた。朱里は俺と付き合ってる時からあいつとも付き合ってたんだろ?」

「え?」

「だから歳下で定職も金もなくて、将来も考えられない頼りない俺を捨てたんだって…。」


そこまで聞いて疑問を抱いた。

順平に会わないようにと、会社を辞めて順平の生活圏外に引っ越したのに、一体どうやって見つけたんだろう?

もちろん劇団の人たちにもそれを話した事はないし、やみくもに探して見つかるものなんだろうか?

順平を捨てた事に変わりはないかも知れないけれど、壮介と知り合ったのはその後だ。

なぜ順平はそう思ったんだろう?

「違うよ。順平と付き合ってる時は順平だけだったよ。壮介と知り合ったのは、順平と離れて新しい職場で勤め始めてから。」

「え?」

順平は首をかしげて何かを考えている。

「俺とはただの遊びで、他にもいっぱい男がいたんじゃなかったの?」

「はぁ?何それ?!」

「朱里がそんなつもりだったんなら、俺ももうどうでもいいやって見た目も変えて…女を取っ替え引っ替えして手当たり次第に遊んだ。もし朱里と顔合わせて声掛けられても、オマエなんか知らないって言ってやろうって思ってた。」

「遊びとか他にもいっぱい男がいたとか…そんな事あるわけないよ!!なんでそうなるわけ?!」



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