季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
順平の中の私のイメージは最悪だ。

でも本当にそれを信じていたのだとしたら、順平のひどい態度や女癖の悪さにも納得する。

「バーで絡まれてたのを助けてくれたのは順平なんでしょ?」

「あの時は朱里酔ってたし何されても痛くもないだろ。…無理やりやっちゃおうかとも思ったけどマスターもいたからやめた。どうせなら意識ある時にしようと…。」

「そこでホントにやってたら鬼畜だよ…?」

何もされなくて良かった。

「でも朱里があいつの身代わり探しに事務所に来たのは偶然。仕返ししてやるチャンスだって思った。」

「だからあんな態度…?でも…壮介に親戚の前で謝るように言ってくれたのは順平でしょ?」

「朱里の計画をぶっ壊してやろうと思ったんだよ。ついでに言うと、あんなやつの身代わりすんのがイヤだった。」

「あんなやつ?」

「朱里を騙してた二股男だろ。」

それを言うなら順平だって…と思ったけれど、言わないでおこう。

「そうなんだよね…。完璧に騙されてた。壮介から聞いた話は全部嘘だったの。私と同棲してた2年間ずっと、私の友達と付き合ってたらしいんだ。」

「ああ…だからか。」

急に順平が納得したような顔をした。

「だからか、って…どういう事?」

「いや…。なんでもない。」

さっきから順平の言葉がやけに引っ掛かる。

順平は何を知っているんだろう?



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