季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
その夜私は、3年ぶりに順平に抱かれた。

優しいキスも、広くてあたたかい胸も、身体中に感じるすべては順平のはずなのに、どこか違和感を感じた。

あの頃の順平は、いつも宝物を扱うように優しく私の体に触れて、何度も好きだよと言いながら抱いてくれた。

誰だって3年も経つと、何かしら変わるのだろう。

離れている間、たくさんの女の子を手当たり次第に抱いた順平と、壮介に抱かれていた私。

あの頃とまったく同じなはずがない。

同じどころか、本当に順平なのかとふと思う。

何度も求められ激しく揺さぶられて、からっぽだった心と体を順平で満たされたはずなのに、なぜかまだ心のどこかにあいた穴が、埋め尽くされていないような気がした。






疲れきっているはずなのに眠れない。

眠っている順平の隣に体を横たえ、順平の寝顔を見ながら考えている。

昔は腕枕してくれたのにな。

腕枕をされて、順平の胸に頬をすり寄せて、甘い余韻に浸って眠るのが幸せだった。

順平はすぐ隣にいるのに、別人といるような、ひとりぼっちのような気がする。

これからまた一緒に過ごしていくうちに、その違和感はなくなるだろうか?

あの頃のように、順平が好きだと心から言えるだろうか?



明日、早苗さんに順平との事を話さなきゃ…。






< 143 / 208 >

この作品をシェア

pagetop