季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
「ちょっと待って。メニューの説明してよ。」

「え?あ…ハイ…。」

早苗さんに後ろから抱えられるようにしてソファーに座らされ、鼓動がどんどん速くなる。

「あの…この体勢はちょっと…。」

「ダメだった?」

「仕事中です…。」

「ああ、そうだった。」

早苗さんはイタズラっぽく笑いながら、私の耳元に唇を寄せた。

「仕事中じゃなかったら良かったかな?」

「そういう問題じゃ…。」

更にドキドキして、身体中が熱くなる。

きっと私、耳まで真っ赤だ。

熱くなった私の耳に柔らかい物が触れた。

「朱里、耳まで真っ赤。首も、顔も。」

早苗さんは私の耳から首筋にゆっくりと唇を這わせる。

「やっ…ダメ…早苗さん!」

慌てて身をよじると、早苗さんは少し笑って私の頬に軽く口付けた。

「ごめん、仕事中だったね。」

早苗さんは私から手を離して、向かいのソファーに座った。

私はホッとして、大きく息を吸って吐いた。

「じゃあ、メニューの説明して。」

「あ、ハイ…。このハンバーグソースは…。」

それからなんとかメニューの説明をして、早苗さんの感想と評価を聞いた。

「じゃあ…私はこれで。あとはゆっくり召し上がって下さい。」

ソファーから立ち上がってドアに向かおうとすると、早苗さんは私を見て優しく笑った。


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