季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
私はふと、順平が言っていた事を思い出した。

志穂にはまだ順平との事は、話していない。

「志穂…私ね、もうひとつ気になってる事があるんだけど…。」


私は壮介との結婚が破談になってからの順平との経緯を志穂に話した。

そして、私が順平以外にも付き合っている人がたくさんいて順平とは遊びだったとか、順平と付き合っている時には既に壮介と付き合っていて、将来を考えられない順平を捨てて壮介を選んだとか。

ありもしない事を順平に言われたと言うと、志穂はまたうーんと唸った。

「それって…誰かに吹き込まれてるよね?」

「やっぱり志穂もそう思う?そのせいで順平は私に仕返ししようと思ってたって。」

「そんな子だったっけ?」

「ううん、私が知ってる順平はそんな事はなかったけど…。今の順平…昔とは全然違うの。」

「違うの?」

「うん…。昔はもっと優しかった。すごく大事にしてくれたし…私がいやがるような事は絶対しなかったよ。人間って3年でそんなに変わるもんかな?」

「なんでだろう…。気になるね。朱里はそんな順平くんといて幸せ?朱里が好きだった頃の順平くんと全然違うんでしょ?」

「うん…。正直言って、順平の事が全然わからない。でも、一緒にいるって決めたし…。」

「朱里の気持ち、わからなくもないけどさ…。よく考えた方がいいよ?この先長いんだし。」

「うん…。」







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