季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
それから私は食事会の会場に都合のいい店を調べ、挙式日だった日に人数分の予約をした。
料理も安っぽいコースではなく、真ん中よりひとつ上のランクの、それなりの物を選んだ。
痛い出費。
壮介に払ってもらいたいくらいだ。
仕方がないからカードで分割払いにした。
そして招待していた親戚に電話をして、その都度母親に話したのと同じ事を何度も話した。
惨めだった。
だけど“婚約者に捨てられたから結婚話はなくなりました”と言うよりはましだと思う。
ようやくすべての親戚に電話を終えた時には、お昼を過ぎていた。
道理で賑やかなはずだ。
私もランチを注文しようかと思ったけれど、テーブルの下でコソッと財布の中を覗き、とりあえずカフェラテのおかわりを注文した。
私は震える手でカップを持って、カフェラテを飲む。
思っていたより現実は厳しい。
親戚はみんな何か言いたげだった。
だけどそれを口には出さず、私や壮介の父親の心配をしているふりをした。
“結婚を延期するなんて言って、本当は別れるから、このままなかった事にするつもりじゃないの?”
うわべだけの優しい言葉の裏で、そんな冷ややかな言葉が聞こえた気がした。
それは私の心にある後ろめたさから来る物なのかも知れない。
こんな事で怯んでどうする。
絶対にこの嘘をつき通すって決めたんだ。
もっと強い心で、毅然としていなくちゃ。
責めるなら壮介を責めて。
私は何も悪くないんだから。
料理も安っぽいコースではなく、真ん中よりひとつ上のランクの、それなりの物を選んだ。
痛い出費。
壮介に払ってもらいたいくらいだ。
仕方がないからカードで分割払いにした。
そして招待していた親戚に電話をして、その都度母親に話したのと同じ事を何度も話した。
惨めだった。
だけど“婚約者に捨てられたから結婚話はなくなりました”と言うよりはましだと思う。
ようやくすべての親戚に電話を終えた時には、お昼を過ぎていた。
道理で賑やかなはずだ。
私もランチを注文しようかと思ったけれど、テーブルの下でコソッと財布の中を覗き、とりあえずカフェラテのおかわりを注文した。
私は震える手でカップを持って、カフェラテを飲む。
思っていたより現実は厳しい。
親戚はみんな何か言いたげだった。
だけどそれを口には出さず、私や壮介の父親の心配をしているふりをした。
“結婚を延期するなんて言って、本当は別れるから、このままなかった事にするつもりじゃないの?”
うわべだけの優しい言葉の裏で、そんな冷ややかな言葉が聞こえた気がした。
それは私の心にある後ろめたさから来る物なのかも知れない。
こんな事で怯んでどうする。
絶対にこの嘘をつき通すって決めたんだ。
もっと強い心で、毅然としていなくちゃ。
責めるなら壮介を責めて。
私は何も悪くないんだから。