季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
閉店作業が終わり、3人で店を出た。
仕事が終わっても、帰る家まで同じ。
順平は仏頂面で足早に家路を急ぐ。
私は小走りで順平を追い掛けた。
「ちょっと待ってよ。歩くの速すぎる。」
「なんで俺が待たなきゃいけないんだよ。」
「なんでって…。」
同じ家に帰るんだからと言いかけて、やめる。
「やっぱいい。私は私のペースで歩くから。」
「朝にならないように気を付けるんだな。」
口を開けば憎まれ口ばかり。
…憎まれてるんだな、私。
順平は昔の事は何一つ話そうとしないけど、きっとそれでいいんだ。
今更、昔の話をしたってなんにもならない。
懐かしさで昔の恋愛感情とか思い出して、勘違いして妙な関係になっても困る。
私たちの間には、少し距離があるくらいがちょうどいいのかも知れない。
前を向いてどんどん進む順平は、もう随分先の方を歩いている。
順平を追う事をやめた私は、自分のペースで歩く。
引き離した私を振り返りもしない。
順平はいつだってそうだった。
まっすぐ夢を追い掛けて、劇団の活動に夢中になると、私はいつもほったらかし。
何週間も放っておいて、舞台が終わると悪びれもせず当たり前のように私に会いに来た。
順平の夢も、そのために努力していた事も知っていたから、順平を責める事ができなかった。
仕事が終わっても、帰る家まで同じ。
順平は仏頂面で足早に家路を急ぐ。
私は小走りで順平を追い掛けた。
「ちょっと待ってよ。歩くの速すぎる。」
「なんで俺が待たなきゃいけないんだよ。」
「なんでって…。」
同じ家に帰るんだからと言いかけて、やめる。
「やっぱいい。私は私のペースで歩くから。」
「朝にならないように気を付けるんだな。」
口を開けば憎まれ口ばかり。
…憎まれてるんだな、私。
順平は昔の事は何一つ話そうとしないけど、きっとそれでいいんだ。
今更、昔の話をしたってなんにもならない。
懐かしさで昔の恋愛感情とか思い出して、勘違いして妙な関係になっても困る。
私たちの間には、少し距離があるくらいがちょうどいいのかも知れない。
前を向いてどんどん進む順平は、もう随分先の方を歩いている。
順平を追う事をやめた私は、自分のペースで歩く。
引き離した私を振り返りもしない。
順平はいつだってそうだった。
まっすぐ夢を追い掛けて、劇団の活動に夢中になると、私はいつもほったらかし。
何週間も放っておいて、舞台が終わると悪びれもせず当たり前のように私に会いに来た。
順平の夢も、そのために努力していた事も知っていたから、順平を責める事ができなかった。