季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
………は?

26歳イケメンの順平?

…って、あの順平か!!

ふーん、彼女いるんだ。

それなのに夕べのあれはなんだ?

ああ、ここで今すぐバラしたい。

もちろんそんな、リスクしかないようなバカな事はしないけど。




「それじゃあ朱里さん、お先に失礼します。」

「お疲れ様。」

恵梨奈は目一杯おしゃれをして、ウキウキと楽しそうに笑って店を出た。

あーあ。

あの子絶対、遊ばれてるか勘違いしてるよ。

恵梨奈から聞いた彼氏の話は、当てはめると順平そのものかも知れない。

確かに見た目は抜群にいいと思う。

クールでシャイで無口?

いや、多分しゃべるのが面倒なんだと思う。

ぶっきらぼうで仏頂面で、わがままで傲慢で、それに加えてかなりのサドだ。

優しさのかけらもない。

それでも恵梨奈本人が喜んでるなら、特に問題ないのかな。

私が気にする事じゃない。

だけど順平には彼女がいるのに、私は一緒に住んでいていいのかな。

それから、誰にでもあんな事するのは、どうかと思う。

“誰にでもそんな顔すんだな”?

それは順平の方でしょ。

もう引っ掛からないようにしよう。

まんまと順平のペースに乗せられて、妙な関係になってはいけない。

順平には彼女がいるんだから。

とりあえず早くお金を貯めて、あの部屋を出ないと。

今言えるのはそれだけだ。

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