季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
「だけど、なんか納得しちゃいました。」

「…何が?」

「順平くん、私とエッチはしてもキスはしてくれなかったから。」

ブホッ。

なんだそれ?!

危うく口の中の物を思いきり吹き出しそうになったじゃないか!!

「……そうなの?」

「順平くんからもキスしてくれないけど、しようとしてもキスは嫌いだって言って、一度もさせてくれなくて。よく考えたら、たまに会ってもエッチしかしてないし、デートらしいデートも食事もした事なかったです。」

「ふーん…。」

明け透け過ぎる…。

仕返しのつもりではなさそうだけど、私がその男の彼女だって言ってるのに、普通はそんな話しないよね?

「順平くん、めちゃくちゃタイプだったのになぁ。エッチもすごく良かったし…。」

ああ、そう…。

順平の言った通りだったわ。

たいしたダメージなさそう。

私は少しホッとして食事を続けた。

「朱里さんは順平くんと一緒に暮らしてるんですよね?」

「ん?まぁ。」

それは本当。

部屋は別々だし、順平の部屋には一度も入った事ないけど。

「順平くん、いっつもあんな感じですか?」

「…どうかな…。」

「え?」

あ、しまった。

「うん、そうだね。あんな感じ。」

ボロが出るといけないから、当たり障りのない事言っとこう。


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