季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
順平はソファーから立ち上がり冷蔵庫に水をしまうと、冷蔵庫の前に立っていた私の体を抱き寄せて、今にも触れそうなほど顔を近付けた。
「だったら体で払う?」
「……バカ。」
「イヤって言わないって事は、いいんだな?」
「ちが…!」
違う、と言い掛けた私の言葉を遮り、順平の唇が私の唇を塞いだ。
私の理性を奪い去ろうとするように、順平は舌を絡めて激しく私の唇を貪る。
順平の腕に強く抱き寄せられ逃げ場をなくした私の体は、欲情にかられ抗う事も忘れている。
勘違いしちゃダメだとわかっているのに、順平のキスは、付き合っていたあの頃の順平への気持ちを蘇らせた。
思わず順平の背中に腕をまわしてシャツをギュッと握ると、順平は唇を離した。
「バーカ。冗談に決まってんだろ。その気になってんじゃねぇよ。」
「……ならないよ、バカ。」
やっぱり相当弱ってるな、私。
ハタチやそこらの小娘じゃあるまいし、いい歳して、このままどうなってもいいと思ったなんて恥ずかしい。
私はもう、順平との終わった恋を蒸し返して浸っていられるほど若くない。
「もう、こういう事するのさ…冗談でもやめてよ。」
「本気でして欲しいの?」
「そういう意味じゃなくて…。それに、キスは嫌いなんでしょ?恵梨奈が言ってたよ。」
「別に。あいつとはしたくなかっただけ。」
「何それ。意味わかんないんだけど。とりあえず、私もう行かなきゃ。料理はまた今度。」
少し乱れた髪を手櫛で整え、上着を持って部屋を出た。
私は順平の顔を、まともに見る事ができなかった。
「だったら体で払う?」
「……バカ。」
「イヤって言わないって事は、いいんだな?」
「ちが…!」
違う、と言い掛けた私の言葉を遮り、順平の唇が私の唇を塞いだ。
私の理性を奪い去ろうとするように、順平は舌を絡めて激しく私の唇を貪る。
順平の腕に強く抱き寄せられ逃げ場をなくした私の体は、欲情にかられ抗う事も忘れている。
勘違いしちゃダメだとわかっているのに、順平のキスは、付き合っていたあの頃の順平への気持ちを蘇らせた。
思わず順平の背中に腕をまわしてシャツをギュッと握ると、順平は唇を離した。
「バーカ。冗談に決まってんだろ。その気になってんじゃねぇよ。」
「……ならないよ、バカ。」
やっぱり相当弱ってるな、私。
ハタチやそこらの小娘じゃあるまいし、いい歳して、このままどうなってもいいと思ったなんて恥ずかしい。
私はもう、順平との終わった恋を蒸し返して浸っていられるほど若くない。
「もう、こういう事するのさ…冗談でもやめてよ。」
「本気でして欲しいの?」
「そういう意味じゃなくて…。それに、キスは嫌いなんでしょ?恵梨奈が言ってたよ。」
「別に。あいつとはしたくなかっただけ。」
「何それ。意味わかんないんだけど。とりあえず、私もう行かなきゃ。料理はまた今度。」
少し乱れた髪を手櫛で整え、上着を持って部屋を出た。
私は順平の顔を、まともに見る事ができなかった。