季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
それから少しして、ケーキの美味しい店に行こうと志穂が言い出し、その店に移動してケーキセットをオーダーした。

志穂は最近、この店のニューヨークチーズケーキが大のお気に入りなんだそうだ。

志穂がそこまで言うならと、私も同じものを頼んだ。

濃厚なチーズの風味が口いっぱいに広がる。

甘くて美味しいものを食べると、ほんの少し幸せな気分になれるから不思議だ。

夢中になってケーキを食べた後、コーヒーを飲みながら、気になっていた事を志穂に聞いてみた。

「最近、紗耶香と連絡取れてる?」

「たまーに電話とかメールとかするよ。」

「え?そうなの?」

志穂とは連絡を取っているのに、紗耶香はなぜ私とは連絡を取らないんだろう?

私、紗耶香に嫌われてるのかなぁ…。

「そう言えば少し前に電話で話したよ。」

「紗耶香、元気だった?」

「結婚したってよ。子供ができたって。」

「えっ?!」

紗耶香からは結婚どころか恋人がいるって話も聞いてないけど…。

「もしかして志穂は、紗耶香から恋人がいるとか聞いてたの?」

「うん。朱里は聞いてなかったの?」

「聞いてない…って言うか、最近ずっと電話しても繋がらないし、メールしても返信ないし、全然連絡取れなかったよ。」

「そうなの?朱里が会社辞めて少ししてからかなぁ。たまに紗耶香の恋愛相談に乗ったりしてたんだ。」


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