季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
なんか疎外感…。

確かに私は一番先に会社辞めて離れたけど…。

私はヘコみながらコーヒーをすする。

「ここだけの話、紗耶香ってね…大人しそうに見えて、結構怖いよ。」

志穂は小声でそう言った。

「怖いって…どういう事?」

「略奪だよ。友達の彼氏奪ったんだってさ。」

「略奪…?紗耶香が?」

「彼氏は友達とも紗耶香とも…まぁ、二股ってやつ?紗耶香、彼氏の子を妊娠しても彼氏にはすぐに言わないで、中絶できない時期になってから言ったらしいよ。」

「ええっ?!」

おっとりしていて、いつも穏やかに笑っていた紗耶香に、そんな恐ろしい一面があったとは!

人間って見掛けじゃわからないもんだな。

紗耶香に恋人を奪われた友達が、あまりにも気の毒過ぎる。

似たような話ってあるもんだと、その友達に変な親近感を覚えた。

「なんか…紗耶香のイメージ変わったよ…。」

「だよね。さすがの私もドン引きした。女の執念って言うか…。その友達が彼氏と付き合う前から、ずっと好きだったらしいから。」

「ふーん…。」



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