季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
寝耳に水とはまさにこの事だ。

私はまだ散らかった頭の中で、志穂から聞いた話を反芻してうなだれた。

結局、壮介の話は嘘だったんだと今更ショックを受けた。

行き着いた結論は、壮介は私と一緒に暮らしていた2年間ずっと紗耶香と付き合っていただけでなく、私と別れる2ヶ月前には既に紗耶香と入籍までしていたと言う衝撃の事実。

私は一体、壮介のなんだったんだろう?

今となってはどうでもいい話かも知れない。

部屋で一度だけ会った“みいな”とか言う女はなんだったの?

私に嘘をついて、偽嫁を用意して芝居を打ってまで、紗耶香と自分を守りたかったんだな、壮介は。

ああ、それは私も同じか。

私も順平を偽壮介に仕立て上げようとしたんだから。


だけどやっぱり、恋人と友達にずっと裏切られていたんだと思うとショックだった。


男女の仲もどうなるかわからないけど、女の友情も脆いものだ。

道理で紗耶香と連絡が取れなかったわけだよ。

紗耶香は私の事を友達なんて思っていなかったんだろう。

親友だと思ってたのに。

もう文句を言う気力もない。

今更何を言ったところで時間が戻るわけでも、私と壮介の仲が元通りになるわけでもない。

もちろん、私と紗耶香も友達には戻れない。


私が何も聞かなかった事にしておけば、すべてが丸く収まるのかな。

こんな真実なら知りたくなかった。







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