夏 恋 花 火
絵理が見ている方向を見ると、うちのクラスに北川先輩がいた。
えっ、北川先輩?!
どうやら、うちのクラスのバスケ部員に会いに来ているようだった。
友香が思い切り私の肩を揺らす。
「友香、今誘っちゃいなよ!」
「えっやだ、無理無理無理!」
「だってあんまり会える機会さえないじゃない。それに花火大会、今夜だよ?今が最後のチャンスだよ。今しかないよ!」
「でも…」
先輩は南先輩が……。
「ダメでもいいじゃん。ちゃんと友香の気持ちを伝えるって事が大事なんじゃないの?怖いかもしれないけど、後悔するより、百倍マシだと思うよ」
ぐっと唇をかみ締めた。
後悔だけは……したくない。
しちゃいけない。
北川先輩が部員に手を振って、ドアの方に歩き出した。
あ…!
「ほら、先輩行っちゃうよ?」
ポンっと背中を押されて、私はわけが分からないまま叫んでいた。