夏 恋 花 火
「ついに、フられたかぁ」
「うるさい……っ」
鼻声でいつもみたいに言い返す。
俊也は私の髪をくしゃくしゃにした。
「ま、これも青春じゃん?」
「えらそうに言うなっ!」
空は夕方、オレンジ色だ。
カラスが空を飛び、丸く弧を描いている。
しばらく沈黙が続いたと思ったら、急に俊也が
「……よし!行くぞ、友香!」
と吠えた。
「へっ?何?」
「日が落ちる前に、とりあえず家、帰るぞ!」
「はぁ?!」