夏 恋 花 火
「ただいまー…」
「あ、おかえり、友香。ほら、見て見て見て~!今年も浴衣作ってるの。格子柄で可愛いでしょ」
出迎えるなり、テンション高いウチの母ちゃんは、着物の着付けの仕事をしている。
時々こうやって自分で浴衣や小物を作ったり、浴衣や着物のおしゃれなアレンジを自分のHPに載せたりしている。
一度だけファッション雑誌に取り上げられた事もあったりする。
この前、立替えたこの家も、お母さんの趣味で和風の家に仕上がった。
「友香、せっかく作るんだから今年こそは着てよ~」
「まだ行くかどうかも分かんないー」
私はあくびをして、二階に上がろうとした。
「あ、そうだ。今年はね、俊也くんの浴衣も作ってるの」
「え?俊也のも?何で?」
思わず怪訝な顔で顔を戻した。
「何でって、可愛いじゃない、浴衣のペアルック!」
「ペアって…えっ柄、おそろい?!」
お母さんの目は何だかキラキラしている。
「色違いだし、友香の方には少しお花が入ってるけどね。かーわいい!このコーデもHPにアップするつもり」
「ちょっとやめてよ、勝手に!あたし絶対着ないからね!」
冗談じゃないよ!
私はずかずかと階段を上っていった。
「あーもう、ちょっと友香~!?」