太陽の君へ
プロローグ
気がつくと、向日葵の咲く季節になっていた。
中庭にある小さな花壇に植えられている満開の向日葵を私はジッと眺めていた。
この向日葵を見るのは今年で三度目だ。
あれからもう、三年か。
「キョンキョンじゃん。何見てんの?」
私の肩に夏美が腕が回された。
夏美は私たちの中で一番明るい髪をした、何にでもあだ名を付けたがる女。
私の事も響子だからキョンキョンらしい。
そんな風に呼ばれたことがなかったため、最初は違和感を感じてむず痒かったけど今ではそれが不通となっている。
「あー、向日葵だ。もう咲いたんだね」
「うん。今年はいつもより早いみたい」
夏美も同じように向日葵をジッと眺め始めた。
ゆらゆらと風に揺れている向日葵は、ただ真っ直ぐに太陽へと顔を向けている。
その姿はまるで涼のようだった。
「ねぇ、キョンキョン」
「何?」
「そろそろ話せない?何でここに入ったのか」
肩から腕を外し、正座をして夏美は私と向き合った。
私は向日葵から夏美へ視線を移した。