バナナの実 【近未来 ハード SF】
仮に100万円負けてもよい資金があるならと、シミュレーションしてみる。
プレイヤーとバンカーにどちらでも良いので、4000円と8000円を掛けることになり、4000円×7回連続で負けるまでの回数が利益に。
一日に80回勝負して、7回連敗しなけなければ、日に32万円のプラスだ。
辻は、バカラのスコアカードに書き溜めた過去の記録データを引っ張り出し、どのくらいで7回連敗するのかを数えた。
それによると平均、五日だった。
今度は、五日ごとに7回連敗することを考慮して再計算すると、月168万円のプラスになるという数字がはじき出される。
100万円が一ヵ月後には、268万円に・・・。
彼は、単純にスゴイと心が躍った。
辻の体は、雲の隙間から差し込む一筋の希望を感じ取ったようにベッドから起き上がると、テレビ横の鏡台でさらに計算を続けた。
半年後には、プラス1000万円になる中から・・・。
軍本金を100万円から500万円に上げて、同様に計算してみる。
「月840万円のプラス!」
計算上、儲けたカジノ資金から資本金を上げると、半年後には、プラス5040万円と青い文字で紙に書かれていた。
彼のにわかに覚えた興奮は、ペンが走るほどにゆっくりと着実にその機を高める。
続いて、5000万円の半分の2500万円を資本金にして、同様にシミュレーション。
すると、今から二年後には、初めの資本金100万円が10億3800万円に!
虚を突かれた辻は、絶句する。途端、噴火のごとく一気に爆発し烈火のごとき感情が全身の血管を裂く。