バナナの実 【近未来 ハード SF】

リタ・J は、翻訳料やブログの運営管理費など初期契約に基づき、実際、数億円の大金を手にしたようだ。


その大きな割合を占めたのは、小説の売り上げ部数に応じた配当であったことが、辻の翻訳されたブログ記事にも書かれていた。


これらのシナリオは、アンナ・K 著書、『THE PERFECT AMERICAN DREAM』にも、あらかじめ描かれていた内容であった。


アンナ・K 、すなわち、辻の小説『THE PERFECT AMERICAN DREAM』は、その人気からハリウッド映画化された。


ケータイ小説『バナナの実』は、ハリウッド映画にシナリオが起用された初めてのケータイ小説作品としても評価され、一時、廃(すた)れた日本のケータイ小説の文化的地位向上に大きく貢献した。


同時に、その存在を海外に広め、投稿される作品に多大な影響を与えていた。


一方、同じく海外で翻訳出版された彼の『セカンド ソート』はと言うと、ボリウッド映画のシナリオとして、コメディ要素とアレンジが加わり、インドで映画化されることが程なくして決定する。


日本での劇場公開は、まだ、未定であったが、DVDソフト化することは、販売元と大筋合意に達していることが、辻のブログから最近になって発表された。




読者と著者の共同作業。


小説シナリオが現実に起こることで、世にサクセスストーリーが誕生する。


この類(たぐい)の話としては、有史初の出来事として、人々の記憶の片隅に刻まれることとなる。


また、歴史に関わった意志とも言える日本語と英語のウェブ記録は、その証として、未来永劫(えいごう)残ることを意味していた。

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