バナナの実 【近未来 ハード SF】

辻は、原稿をケータイ小説として発表する前に悩んでいた頃、図書館で読み漁(あさ)った本の中から、ノートに書き写したメモを見直していた。


『ある金鉱会社は、企業秘密だった地質データをネット上に公開し、金鉱脈の見つける方法を懸賞付きで募集したところ、結果的に有効的な方法が世界中から寄せられ、多くの金鉱脈を発見することに成功した』

(ネット未来地図 佐々木俊尚 文芸春秋)



『革新者は、その行動の当然の結果として既存の制度や仕組みを破壊します。


そのような破壊者は、それまで旧体制の恩恵に浴していた層からは迷惑以外の何ものでもありません。


したがって、抵抗、嫉妬、いやがらせの類は無限に連鎖していきます』

(YouTubeはなぜ成功したのか 室田泰弘 東洋経済新報社)



『不完全なものを世に出していきながら、多くのユーザーに改良すべき点をどんどん挙げてもらう。


改良点が挙がれば挙がるほど、製品はどんどんよくなっていく』

(アマゾンのロングテールは、二度笑う 鈴木貴博 講談社)



『これは電子の目の威嚇(いかく)な瞬(まばた)きである。


今や、それは完全な知という一段と野心的な目標に結びつき、シミュレーションが過去の記憶の知識に着実に取って代わる。


これは限界なき監視である。

全てを見通すだけでなく、それを前もって行おうというのだから』

(監視社会 デイヴィッド・ライアン 青土社)
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