バナナの実 【近未来 ハード SF】

◆とまれ、色々と苦言も呈したが、アイディアの面白さを活かせば、魅力的な小説になるはずだ。


ただ、作者の実体験を基にした部分に関しては、登場人物のプライバシーへの配慮も欠かせない。


無駄に分量を増やしているといった感もあるので、スリム化も視野に入れながら、完成度を高めて頂きたい。
 


「ん? 出版できるのか、できないのか?」


『御著者の刊行について』という用紙には、次のようにあった。




『以上が、原稿審査部門の講評となります。


その結果、弊社独自の出版システムをご利用頂き、全国出版に向けてのお手伝いしたい作品であると判断しました。


刊行に際しましては、初版第一刷の出版費用のみ出版委託金としてご負担頂きます。


辻様には改めて是非、ご来社頂き直接お話いたしたいと思っております』





「うそー!」

「出版できるんだ。すごいじゃん」

辻は、大海原(おおうなばら)を跳ねるイルカのように舞い上がった。



初版の出版費用負担っていうことは、自費出版でありながら書店への陳列サポートが受けられるということか?


小説に描かれている特別契約は、結べるのだろうか?


『ご契約から刊行まで』という用紙もあり目を通すが、いろいろと疑問が残る。


辻は、とりあえず話だけでも聞きに行こうと担当者に電話し、会社訪問する約束を取ったのだった。






    ≪ 第6章へ・・・ ≫

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