バナナの実 【近未来 ハード SF】
四人は、毎度、どこの居酒屋界隈(かいわい)でも繰り広げられるだろう、実のないピーナッツ同然の殻話でよく盛り上がった。
そんなある日、いつもの練習後、ジロウと亮と福井が、部屋でガンジャを吸うという。
辻は、今まで興味を持ったことは無かったが、『人生の経験として、吸うのもいいものだよ』というジロウが巻いた風に、フッと心が揺れた。
吸おうという気は無かったが、その風に手を引かれるよう、彼は、同席させてもらうことにした。
旅をしているとガンジャ、いわゆる、大麻を吸う人にたまに会うことがある。
ガンジャには、いろいろと別名としての呼び名があって、形状にもよるが、大麻、マリファナ、ハッシシ、草、チョコ、ウィード、カンナビス、・・・これらすべてが同じ種類を指すこと。
その他、タバコや酒のように依存性や常習性が無いこと。
オーストラリアやカナダ、オランダ、ドイツなどそれぞれ細かい規制があるものの、大麻使用の非犯罪化されている国があることは、辻も知識としては知っていた。
辻は、ヘロインやコカインなどのケミカルな物と大麻をずっと同一視してきた。
海外旅行をしていると、時々、ガンジャを吸うことに誘われることもあったが、そんな理由で毎度お断りしていた。
しかし、多くの人の話を総合すると、どうやら自分の認識が間違っているのではないかと思うようになっていった。
その違いというのが、社会一般常識と異なる時には本当に厄介である。
どちらが正しい解釈なのか、判断に悩むのだ。
ガンジャを吸う人の話を聞くと、ガンジャを吸ってもケミカルはやらない、という人がほとんどだった。
亮やジロウも、そんな考えの人たちである。