バナナの実 【近未来 ハード SF】
僕、独りでは何もできないわけで、彼女のレビューからすべてが始まったと言っても過言ではないはずですから』


中には、辻を応援する読者も多く見られた。

とは言っても、読者も何を議論して良いのやら分からないような感じで、小説の書き方や表現のおかしい点の指摘や指導といった形式的なものが多かったように感じられた。


それでも辻は、読者の意見をよく吟味(ぎんみ)し、時には他の読者に助言を求め、辻が納得した件に関しては、どんどんオリジナル文章を修正・変更。


それら変更箇所はブログ上で公開され、すべての読者と情報を共有できる環境を徐々に整えていった。


よって、はじめて辻のブログを訪れる人でも、おおよそどのような議論がなされているのか理解でき、現在の進行状況を把握することができた。


半年が瞬く間に過ぎ去り初めてのクリスマスを迎える頃、情報の可視化と読者コメントの増加が功を奏したのかは不明だったが、次第に小説のシナリオに触れるような会話が見られるように。


(無題) 投稿者: 桃色メロディー

『はじめまして、桃色と申します。

さっそくカレーライスを読みました。いい意味でぶっ飛んでますね。

それから、利己的結構じゃないですか。利己的な人間でなければ優れた物書きにはなれないと、桃色は思います』



(返信 桃色メロディーさんへ ) 投稿者: 作者 辻ユウヤ

『利己的が結構だと言われるとは思っていなかったので、僕の固定概念が桃色さんの情熱で溶かされた思いがしました。


私がしたいことはきっと“小説に書かれたSFが現実になること”なんです。


それは、自然界に落ちていたものを僕が偶然見つけたので、それを言葉としての小説にしたまでのことなんです。


「あっ、これ面白いなあ」ってな感じで。
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