思いがけずロマンチック

パソコンのモニターに映っているのは、ぎっしりと文字で染まったメール。発信者である益子課長は、有田さんの歓迎会についての概要をひとりで纏めたらしい。本社に行った時に幹部の方々から汲んできた意向を最優先に纏めたのだと、メールの冒頭に長々と書き連ねている。


朝一番にメールを送信した益子課長は、再び本社へと出かけてしまった。ここよりも本社に行ってる方が楽しくなったんじゃないか、と思いながらメールを読み進める。


だけど、あまりにも行間が詰まっていて読んでいる行を間違えてしまって前に進まない。文章の量の問題じゃなくて、発信者が益子課長だから生理的に拒否してしまっているのかもしれない。


何のために並べ立てたのか意味のわからない説明書きはさておき、把握できたのは日時と場所だけ。


「再来週の土曜日? 12時から?」


思わず声が漏れてしまった。


益子課長の説明では『本命は金曜日の夜だったが、会場が押さえられなかったため仕方なく』と、ご丁寧に書き連ねてある。どうやら歓迎会は昼食会になるらしい。



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