思いがけずロマンチック
「何かあったら言ってくださいね、私もお手伝いさせていただきますから」
疲れた様子の有田さんを見ているうちに、ついこぼれ出た言葉。意識せず声に出てしまった言葉に驚いたのは私だけではなく有田さんも同じ。
僅かに目を見開いて何か言いたそうな顔で私を見ている。
「あ……私にお手伝いできるようなことではないですね、すみません」
気まずい空気を早口で断ち切って、軽く頭を下げた。早く目を逸らしたかったというのも理由のひとつ。
自分の口から出てきた言葉だというのに本心かどうかもわからず、ただただ恥ずかしい。
「ありがとう、気持ちはもらっておくよ」
ここまま頭を上げたらすぐに退散、と思っていたのに有田さんの声に足止めされてしまう。続ける言葉が見つからなくて視線を泳がせながら
「そろそろ、写真の準備をしてきますね」
と言い残し、カメラに救いを求めて駆け出した。
準備のできたブースを順番に写真に収めていく。今回の報告と今後の企画の提案に使うため、いろんなアングルから少しずつ角度を変えて撮るから多くの枚数が必要になる。