思いがけずロマンチック
まずは課ごとに新経営責任者との懇談が行われることになった。課員の紹介と業務内容の説明などを行い、今後の改善点と方針を見出す目的だという。
私たちの企画営業課は一番最後だ。
順番が回ってくるまでに、クライアントへの謝罪と弁解を行わなければならない。今朝からクライアントからの連絡を一切遮断していたことと、こちらからも連絡しなかったことをひたすら平謝り。
そして今日から新たな会社として始動したことを報告する。
新会社と言えば聞こえはいいかもしれないけれど、実際は倒産からのライバル会社への吸収合併。しかも主要な経営陣は逃げてしまっているから恥ずかしい話でしかない。
とくに急ぎの案件が入っていなかったのが幸い、怒りをぶつけられることもなく連絡が取れないことを心配していたそうだ。
勘のいい人は『倒産』をいち早く察知していたらしく笑って済ませてくれた上に、これまで通りの付き合いを約束してくれた。