思いがけずロマンチック

すぐに受信メールをチェックした。
つい30分ほど前、私が屋上に行っている間に受信したメールの件名には『歓迎会のお知らせ(改訂版)』と書かれている。思った通り、送信者の名前は益子課長だった。


開いたメールは所々赤字で修正されている。各課の課長からの挨拶は消され、本社の偉い人たちの挨拶が大幅に加えられて。そしてビンゴ大会の後には『カラオケ大会』なんて書かれている。しかも参加者は本社の営業部長と私。
その後には計画通り有田さんの挨拶が続いているけれど、どういうつもりなんだろう。さっぱりわからない。


これは間違いなく、私に対する嫌がらせだろう。


「何これ……」


どんなにモニターを凝視しても赤い字で修正された箇所は変わらない。やはり見間違いではないらしい。
唖然とする私の隣で、千夏さんが大きな溜め息。


「莉子ちゃん、どうする?」


困惑しているにも関わらず語尾は僅かに上がっている。千夏さんに言われるまでもなく、私の答えはもちろん決まっている。


「抗議します」


大きく息を吸い込んで立ち上がった。




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