思いがけずロマンチック

今朝出勤途中のコンビニで、淹れたてのアイスコーヒーとお菓子を買いこんだ。朝ごはん代わりのチョコドーナツも忘れずに。


私の勤めている会社は8階建ての雑居ビルの5階。私は毎朝エレベーターを使わず階段を使うことにしている。普段ろくに運動なんてしないから、せめてこれぐらい。


それに2基しかないエレベーターは混雑しているから待つのが億劫。エレベーターを待っている人よりも早く到着したら、なによりも気持ちがいい。


これこそが私のつまらない競争心。


エレベーターに乗り込む人たちを横目に、軽快に階段を上がっていく。


ちょうど2階を超えたところで、後ろから足音が響いてきた。結構な速さでテンポよく上がってくる。


きっと私と同じ、待つことが嫌いな人なんだろう。


パンプスのヒールを浮かせて、つま先に重心をかけてペースアップ。後から来た人に追い抜かれるなんて、私のプライドが許さない。
負けるものかと上を目指す。

次の4階で消えてくれたら私の勝ち。そうじゃなくても5階で私が勝ち抜けるんだから。




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