先輩、私に恋を教えて下さい。
でも私は、
この場を見過ごす程の良い人ではないし
それに朝比奈先輩と林先生に、
私が感謝をする様な事なんてされた覚えはない。
かといって、
お金が欲しいっていう貪欲さもないし
朝比奈先輩と林先生を、
恨む様な事をされた覚えもない。
どっちつかずの結果に悩んでいると、
いつの間にか、
二人の別れの時間が来ていた様で、
林先生が私がいるドアの方へ向かってきていた。
またしても私は物陰に隠れた。
難を逃れ、見つからずにすんだ私は、
またドアの前で立ち止まり、中を覗く。
朝比奈先輩は外の景色に夢中になっている様子でこちらに背を向けている。
この写真を見せたら焦るだろう。
どんな風に焦るのだろう。
自分か、相手か、
どっちを擁護するのだろう。
その反応次第だな。
私は勢いよくドアを開けた。