永遠の宝物
幼馴染―――1話
初めてこの街に来たのは6歳だった。

親の離婚と転勤が重なり、父親についてくる事が決まった。

小学校に上がる前だから、これといった友達もいなく

別れには何の支障も無かった。


唯一の理解者であり保護者である父は、

此処に永住するかのように一戸建てを購入して

朝から晩まで仕事に追われていた。


内向的な性格とは裏腹に好奇心旺盛な子供だったと、

今思えばその性格に感謝したい。

引っ越してすぐ隣の家から聞こえる大きな泣き声と

宥める様な優しいピアノの旋律。

導かれるように隣との境のフェンスにしがみ付き耳を澄ませた。

そこはいつの間にか俺の定位置となり音色が聞こえるとそこで時間を潰した。

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