永遠の宝物
久しぶりに早く帰宅した。

日が落ちる前に

家に着いたことは

ここ暫く無かった様に想う。

瑠依の家の前に差し掛かり、

フッと足を止めた。

久しぶりに流れる旋律に

頬が緩んだ。

受験が終わって一段落

着いたのだろう。

それにしても、

いつもは正確に奏でる音色は

所々綻びていた。


その事に対しても、

随分と長い事触れて

いなかったんだなぁと感じる。

隣に住んでいて

意識すれば大体の生活習慣が判る。

数ヶ月に渡って

遅くまで付いていた

部屋の明かりも、

朝決まった時間に登校する

姿もだ。

面と向って会えないなら

影で見守ってもいいじゃないか。
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