永遠の宝物
これが彼女、

柏木瑠依との出会いだった。

18になった今でも

その時の状況を

事細かに覚えているのは

俺の能力のせいもあるが、

「運命の出会い」とか

「赤い糸」と言うものが

あるのなら

きっとそれだろうと思う。

俺にとって彼女は

いつまでも小さな女の子で、

手のかかる妹でもあり、

そして

15でも立派な女なのである。



おばさんの腕から

転げ落ちるように

床に足を付け、

裸足のまま

俺と父の前にたった瑠依は

満面の笑みを浮かべた。



「お兄ちゃん、
 
 一緒にあそぼ?」

「いいよ、

 でもお名前教えてくれる?」

「うん!るいは、るいなの♪」

「るいちゃん?」

「うん!お兄ちゃんは?」

「僕はりゅうだよ。

 ……行こう!」

「うん♪りゅうくん!」



可愛い手をそっと握って、

あまり広くないけど

整った庭で

いつまででも遊んだ。

その後、

入学式までの数日は

常に同じ行動をして過ごした。

俺は男で

年上だからどんな事も我慢した。

それでも俺の想いは

瑠依と同じだったようで、

俺の分まで

我侭を言ってくれたし

泣いてくれた。
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