【完】ぎゅっとしててね?
洋介を振り切って進んだ先は、公園の木陰のベンチ。
ベンチにつくまえにすぐに手は解かれた。
「手、ごめんね?」
「え?ううん、ありがとう」
手、繋いだくらいで謝られた?
なんでだろ。
そのくらいで謝るんだ、慶太くん。
ちゃらいのに、へんなのー。
「芙祐ちゃん、アイス溶けそう」
「ほんとだ」
洋介のせいでアイス2口くらい損したよね。
ちょっとがっかり……。
「さっきの元彼?」
「うん」
「引きずってるの?」
「ん??なんで?」
「だって芙祐ちゃん突然元気ないし。さっきの人が来たときしどろもどろだったし」
「あー、それは違うよ。名前思い出せなくて考えてたんだー」
「嘘でしょ、さすがに」
って慶太くん苦笑い。
ほんとなんだけど。
「あとね、あたし別れたらおしまいなの。もう絶対戻ることないし、トモダチのままでとかもありえないの。だから、撤収させてくれてありがとう」
「……ははっ」
「何か可笑しい??」
「いや。俺と一緒だから。俺も別れたらそれでおしまい」
「へぇー意外かも」
「でも元カノの名前はさすがに忘れないかな」
あ、呆れられた。
意地悪な笑み。
「だって嫌な思い出残してたくないもん」
「いい思い出なら忘れないんだ」
「そりゃそーだよ。辛い時には永遠リピート機能付き」
「へぇ、いい頭してんね」
褒めてくれてありがとう。