【完】ぎゅっとしててね?
花火会場についた。
人混みに紛れても、
ふんわり、今日もいい匂いがした。



「慶太くん、今日はアロンの香水つけてるんだね」


「この匂い好きなんでしょ?」


「うん。すき」


「買わないの?」


「前まで欲しかったけど、この香りはもう慶太くんの香りだからね」


「へー、ならなおさらつけてよ」



なんて言ってあたしに手を伸ばす。

肩に手を回されるような形で、手首を首にくっつけてきた。



「やだよー!あははっ」


って身をよじったら、


「……いって」


思いっきりひと様の足ふんじゃった。
まだ負は連鎖してるらしい。



「ごめんなさい!」


「……芙祐かよ」


「あ、ヤヨちゃん。久々だね……って足大丈夫?ごめん」


「いいけど」


ってヤヨの目線には慶太くん。


「どーも、弥生くん一人で来たの?」


「……なわけねえだろ」



そう言うと、ヤヨは友達と思われる人たちのところへ去っていった。


ヤヨ、感じわるーい。
踏んだのつま先だったからね。痛かったんだろうな。


ヤヨの背中にナムナムしながら、あたしたちも場所取りへ。








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