【完】ぎゅっとしててね?
宿題消化とヤヨの家
SIDE芙祐
***
海も、お祭りも花火も、たのしいことって一瞬で終わっちゃう。
夏休みもあとわずか。
夏休みの課題っていうのは。
内容はそんなに難しくないけど量が多すぎる。
去年はクラスの子達みんなでヤヨの家に集まって、課題を解くの、協力しあったんだけど。
今年はカップル出来すぎたせいで、全然予定が合わないから。
ヤヨの家でふたりきり。
大丈夫、ヤヨは安全男子だから。
わんわん!って吠えるのは、ヤヨじゃなくて、本当のわんちゃん。
可愛いトイプードルの、名前はモグちゃん。
「お利口なわんちゃんがわんちゃん飼ってるんだもんね」
「誰が犬だよ」
「かっわいー。よしよーし」
って、戯れすぎた。
「いい加減はじめるぞ」
ヤヨに部屋まで連行されて、宿題開始。
「やっぱ人数いないと時間かかるね」
もう2時間経っちゃった。
「去年だってほとんど芙祐と俺の写されてただけじゃなかったか?」
「そうだっけ」
「そんで芙祐はやらな過ぎ。ほぼ白紙じゃん」
「夏休みと勉強って結びつかないからね」
「……。そういえば。花火どーだったん」
「楽しかったよ。そうだ、あの日は足踏んでごめんね」
ってちょうど慶太くんからメールの返信が来た。
あの日から毎日続いてるんだよね、メール。
「さっきからソレ、うざいんだけど。電源きっとけ」
「ヤヨちゃんいつからそんな怒りんぼになったの」
「うざ」
「みーけーんっ」
ヤヨの眉間の皺、ナデナデ。
「やめろ」
へへっ、
オコリンボ。