【完】ぎゅっとしててね?
ライバル(SIDE 慶太)
SIDE 慶太
***
学年集会が始まる前、体育館で、芙祐ちゃんと二人、いい感じにはなしてたんだけど。
途中から殺気感じてたよ。
……弥生くん。
ほんと、芙祐ちゃんのこと好きみたいだね。
プリントをネタにして、俺から芙祐ちゃんを奪おうとするから。
手伝うよ、とか言ってみたら案の定、
「……いや、俺ら二人で大丈夫。ありがと」
って断られた。
あーあ、芙祐ちゃん、連れてかれたよ。
普通科の列に並んだ二人の仲のいいこと。
「慶太くーん!こっちこっちー」
クラスの女子にひっぱられて、俺も列に並ぶけど。
こっからバッチリ見えるんだよね。
芙祐ちゃんと弥生くんがくっついてんの。今。
「……離れろよなー」
弥生くん、それはさすがにくっつきすぎでしょ。
「え?!ごめん!私そんなつもりじゃ…」
バッて隣の女子が距離置いて謝ってきた。
「あー、ちがうちがう。いまの独り言。ごめんね?」
「独り言?へんなのー。びっくりしたぁ」
あ、弥生くんと目が合った。
あれだね。これは、“見せつけられてる”。
そういうことしちゃうんだ。
まんまとイライラしてるけどね。
じゃあ、俺も。
容赦しないから。
これはお互い無言の宣戦布告。