【完】ぎゅっとしててね?
この日からヤヨは、放課後毎日のように、麻里奈ちゃんと待ち合わせてた。



「なんだったんだろう」



あの告白みたいなのは。
やっぱりからかわれてただけ?
そっか、なーんだ。


「ヤヨのばーか」


「なんだよいきなり」


「べっつにー」


もういいや、いつも通りで。
考えるのも勿体無いもん。ばかヤヨちゃん。



放課後の委員の仕事をしながら、二人きりの教室。
外は雨。黒い雲が空を覆う。




今日は麻里奈ちゃん、ヤヨのこと待ってないみたい。



「うわ間違った」


「はい、修正テープ」


「ありがと。つか、すげえ雨だな。帰れんのかコレ」



ほんとだ、すごい雨。




「今夜は帰さないよ?」



あたしにんまり、ヤヨを楽しむ。



「……のくせに」



「なんか言った?」


「お前さ」



修正テープを返すヤヨの手に、手を伸ばしたら


カラン。

修正テープは床に落ちて、
ぐっとあたしの手引き寄せた。



「わ…っ」


座ってた椅子から机に身を乗り出す形で、体ごとヤヨに近づいた。



「……」



めっちゃ…近いんだけど。


思わず目をそむけた。



「その冗談マジにしてやろうか」







< 168 / 449 >

この作品をシェア

pagetop