【完】ぎゅっとしててね?
「酔ったねー?」
「芙祐ちゃんだけだって」
「なんかさみしー……。慶太くんも酔って?」
部屋の端っこ。
ぺたり、慶太くんの胸に手を置いた。
なんとなく、置きたかったから。
「……。可愛すぎだから」
ぷいって、また顔そらす。
せっかく綺麗な顔、見てたのに。
こっち向け。
向かい合って座って、超見てたら
「見すぎ」
やーっと、こっち見てくれた。
「へへー」
慶太くんがあたしを支える腕の中。
にこって笑うと、慶太くんに髪の毛くしゃくしゃにされた。
「なにすんのー、ヤヨみたい」
「弥生くんみたいかぁー。何か嫌だな」
「んー?」
「酔ってると本音でるよね。ずるいこと聞いていい?」
「どんとこーい!」
「ははっ。じゃあ、質問ね。芙祐ちゃんって弥生くんのこと好き?恋愛の意味で」
「ヤヨと恋愛ー?」
レンアイかー。
恋愛。
……。
それにしても本当に暑いなぁ。
「慶太くん、お手洗いどこだっけ」
「ははっ。話変えるんだ。つれてくよ」
「やだよー」
「じゃあリコちゃんにつれてってもらおう?」
「リコイイ感じなんだから、邪魔しちゃダメ」
慶太くんは部屋に無理やり置いて、部屋を出て適当に歩いた。
トイレ発見。
の前に通りがかりに自動ドア発見。
ドア、開いた。
……すずしー。
お店の外の駐車場。
あー、めっちゃ気持ちいいかも。