【完】ぎゅっとしててね?
自分の気持ち
Side芙祐
***
「藍ちゃん。たいへん」
「どうしたの?」
「お手紙もらったよ。知らない男子から」
「うそー!?どこの誰?」
「えっとね、1年の……」「それ没収していい?」
って、突然手紙を取り上げられた。大きくて綺麗な手。慶太くんだ。
「どうしたの慶太くん。普通科に用事?」
「次、外で体育だから。通り道」
いいなぁ、体育。
混ざりたーい。
って、そうじゃない。
「手紙返して」
ひと様の文章をさらすような悪党じゃないからね、あたし。
「芙祐ちゃんモテるね」
ポンっと手紙が返ってきた。節度あるヒト、慶太くん。
「慶太くんなんかいつも貰ってるでしょ」
「手紙はないなあー」
「みんなデジタル派かぁ」
「うんうん、でも手紙ってなんか嬉しいよね」
そう言う藍ちゃんの笑顔、眩しい。
「藍は匠くんから貰うんだ?」
「たまーにね。ほとんど無理やり書いてもらってるけど……」
幸せ者め。
「いいなぁー。あたし彼氏から手紙なんかもらった事ないよー。ちょっと憧れるかも」