【完】ぎゅっとしててね?
……なに、してるんだろう。


脳内をピピピーって駆け巡るのは、
慶太くんへの言い訳、だったりして……。


「どうしたの、芙祐ちゃん」



にっこり笑ってる、慶太くんの怖い笑み。


冷や汗。



「な、あ、あの、なんだろう。委員の……」


「委員の?」


「……ごめんなさい。なんか、反射的に追いかけちゃいました」


「正直だね。まぁでも、そういうこともあるよね」



……うんうん、あるよね、って。
いや、無いから。



慶太くん、心広いんだなぁ。
今までの彼氏なら、すっごい怒られてそう。


他の男子と話しただけで怒ってた人もいたもんなぁ……。
慶太くんって、仏の心。



……じろり。

って、音が聞こえそうなほど、横目で見られた。



うん。やっぱり怒ってる。かも。



「芙祐ちゃん。ちょっとこっち行こうか」



やましいことがあるときこそ……にっこり笑顔が怖すぎる。




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