【完】ぎゅっとしててね?
ーーガタッ

音がした、その先を見た。


扉?
背の高い影がみえて、ゆっくり開いた。



「失礼しま……って。……お前ら、何やってんの」



……ヤヨだ。



慶太くんの手から下がる制服のリボンや、もともと開いてたあたしのブラウスの首元。



ヤヨが、かたまってる。



「違うから。そういうことしようとしてるんじゃないから」


あたしが大慌てで否定するけど、たぶん聞こえてない。



「弥生くん変なこと想像しないでね。こんなムードもなんもないとこで、手ぇ出さないからね。俺だって」



「……いや別に。関係ねえし」



運んできた荷物を机に乱雑に並べてから、ヤヨは講義室から出て行った。




< 237 / 449 >

この作品をシェア

pagetop