【完】ぎゅっとしててね?
4限、自習。
席替えしてから板書の邪魔で仕方ない、ひとつ前の席に座る、背の高いひと。
黒髪ふわふわで、崩したくなるうしろあたまさん。
「……ヤヨ」
シャーペンで、つんつん。
「なに」
「さっき見たの誰にも言わないでね……藍ちゃんたちにも」
「言わねえよ」
「よかった」
……。
あれ?
ヤヨが前を向き直さない。
「あとは、あれを克服だな」
「アレ?」
「貧乳問題」
「……なっ」
きゃべつ食べてるし。
体操してるし。
たまにサボるけど……
ていうか、
「ヤヨに言われたくないんだけど。ヤヨの方が貧乳のくせに」
「…はっ」
むかつくー、鼻で笑われた。
大人の階段のぼっちゃってるからって、なんて子なの。
でも、たしかに。
「ヤヨ、ちょっと耳かして」
「あ?」
耳を寄せるヤヨに質問。
「貧乳って、ダメ?」
「知らねえよ」
「そんなー」
「でも、あいつはワールドワイドだし……まぁ、がんばれば」
なに、その哀れみの目線。
そうだった、慶太くん。帰国子女だもん。
目標高すぎ、アメリカンサイズ……。
「ヤヨのばか」
「なんでだよ」
席替えしてから板書の邪魔で仕方ない、ひとつ前の席に座る、背の高いひと。
黒髪ふわふわで、崩したくなるうしろあたまさん。
「……ヤヨ」
シャーペンで、つんつん。
「なに」
「さっき見たの誰にも言わないでね……藍ちゃんたちにも」
「言わねえよ」
「よかった」
……。
あれ?
ヤヨが前を向き直さない。
「あとは、あれを克服だな」
「アレ?」
「貧乳問題」
「……なっ」
きゃべつ食べてるし。
体操してるし。
たまにサボるけど……
ていうか、
「ヤヨに言われたくないんだけど。ヤヨの方が貧乳のくせに」
「…はっ」
むかつくー、鼻で笑われた。
大人の階段のぼっちゃってるからって、なんて子なの。
でも、たしかに。
「ヤヨ、ちょっと耳かして」
「あ?」
耳を寄せるヤヨに質問。
「貧乳って、ダメ?」
「知らねえよ」
「そんなー」
「でも、あいつはワールドワイドだし……まぁ、がんばれば」
なに、その哀れみの目線。
そうだった、慶太くん。帰国子女だもん。
目標高すぎ、アメリカンサイズ……。
「ヤヨのばか」
「なんでだよ」