【完】ぎゅっとしててね?
♡
6限の最後の20分てすっごく長く感じない?
……眠いなぁ。
ティッシュボックスを枕にして、ふわふわもこもこ気持ちいいひざ掛けを肩から掛けて。
おやすみ、地球の皆様。
……。
「…わぁっ!」
「おはよー、芙祐ちゃん」
目を開けたら、目の前に慶太くんがいた。
それも至近距離で机に伏せてるんだもん。
びっくりして椅子からおちそうになったよね。
「えっ?あれ?今…何時??」
「もう放課後だよ。弥生くんが起こしてたけど起きなかったんだよ」
「慶太くんは?いつからいたの?」
「30分前くらいかな?」
「ごめん。叩き起こしてくれていいのに」
「起こしたらかわいそうじゃん。気持ちよく寝てるのにさ」
優しいなぁ、慶太くん。
……って。
はっとして顔を覆った。
「変な顔してたでしょ」
「めちゃくちゃ可愛かったよ」
そう言いながら、あたしの長い髪の毛先をすくう。
照れ隠し、しながら「うそつき」って言ったら。
ははっと笑われた。
……くやしい。
気をつけよう。今度から寝るときはひざ掛けを頭からかぶろう。
「枕に布団まで準備して、そんなに堂々と寝て怒られないの?」
「意外と古典の先生はゆるいんだよ。慶太くんは居眠りしないの?」
「するよ。この前寝言いって笑われた声で起きたなぁ」
「あはは、寝言いうんだ。いいなぁ、慶太くんの寝顔あたしも見たい」
「やだよ」