【完】ぎゅっとしててね?
速度をおとして歩いてたら、スマホが震えた。



着信:慶太くん



「……はい」


『芙祐ちゃんのクラスってクラス会かなんか?俺も同じ駅にいるかもなんだけど。一緒に帰らない?』



平気でいうんだ、そんなこと。
浮気したあとなのに。



ぎゅって、女の子抱きしめたあとなのに。
その前だって、なにかしてたかもしれないあとなのに。




「……っ」


『芙祐ちゃん?泣いてる?どこにいんの?』


「……キライ」


『え?』



追いついた。


慶太くんの背中、ぐって引っぱった。



「わっ、びっくりした……って、どうした?なんで泣いてんの?」



慶太くんの大きい手。大好きな手があたしの髪をなでる。



「触んないで」


涙こぼしながら、睨んだ。




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