【完】ぎゅっとしててね?



……涙、今、枯れたよ。



「もういいや。あたしもいっぱい責めてゴメン」


「いや、でも」


「別れてください、慶太くん」


びんた、する気もなくなった。


にこって笑ったら、慶太くんが悲しそうな顔をする。



「……ハグしたことは認めるけど、浮気じゃないから」



「誰とでもするなら、その方が嫌だよ」



あたし、多分、思ったより独占欲強いんだもん。



「誰とでも……はぁ……。どうしよ。わかってもらえないと思うんだけどさ」



慶太くんの困惑顔。
こんな困った顔じゃないよ、あたしが見たかったのは。






「……挨拶……っていうか。癖っていうか……」



開いた口がふさがらない。





「なんて……ちゃらいの……」



< 252 / 449 >

この作品をシェア

pagetop