【完】ぎゅっとしててね?
「あの子とはアメリカで兄妹みたいに過ごしてたんだよ。恋愛とか抜きで」



「兄妹……?」


「そう。家も車ですぐの距離だったから、親同士がまず仲良くて」



「うん……」



「挨拶でハグするじゃん。本当にそれだけだから」




その声に、顔をあげた。




「テレビでよく見るでしょ?アレ。わかってもらえないかもしれないけど」



「……!」




挨拶でハグ……。
アメリカ……。


まさか。



「でもあの子日本人に見えたもん」


「俺と同じで両親も純粋な日本人だから。でも育ちはアメリカだし……そういう文化だったんだよ」


「文化……」



挨拶でハグ……?



「浮気してないの?」


「断じてしてないから。でも迂闊だった。ごめん」



「……うそだ」



枯れた涙、よみがえった。



「ちょっと来て」



手を引かれて、歓楽街の奥に進む。


遠くで藍ちゃんとヤヨが見守ってるのが見えた。




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